文章支援 TTS 朗讀
先日せんじつ、仕事しごとの帰かえりに普段ふだんは通とおらない細ほそい路地裏ろじうらを歩あるいてみました。都市としの喧騒けんそうから離はなれ、古ふるい家々いえいえが立たち並ならぶその場所ばしょには、独特どくとくの静寂せいじゃくが漂ただよっていました。そのとき、ふと足元あしもとに目めをやると、一匹いっぴきの猫ねこが私わたしをじっと見上みあげているではありませんか。毛並けなみは少すこし汚よごれていましたが、その目めは澄すんでいて、警戒けいかいする様子ようすもなく、ただそこに存在そんざいしていました。私わたしは思おもわず立たち止どまり、しばらくその猫ねこの姿すがたを眺ながめていました。

都会とかいの真まん中なかで、誰だれにも媚こびず、自由じゆうに生いきているその猫ねこの姿すがたは、日頃ひごろ様々さまざまな束縛そくばくに縛しばられていると感かんじる私わたしにとって、強つよい印象いんしょうを与あたえました。何なにかを求もとめるでもなく、ただ今いまを生いきる。私わたしたちは日ひ々、未来みらいのために努力どりょくし、過去かこを後悔こうかいしがちですが、この猫ねこはそんなこととは無縁むえんのようでした。普段ふだん見過みすごしてしまいそうな日常にちじょうの中なかにこそ、大切たいせつな気付きづきや発見はっけんが隠かくされているものだと、路地裏ろじうらの猫ねこが私わたしに教おしえてくれたのです。

理解測驗